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「こうしなさい」より「どうしたらいいか?」を問う
ある小学校で、敬老の日を間近に控え、生活の授業の一環として、老人ホームへ慰問の校外授業を行うことになったときのことです。
おじいちゃん、おばあちゃんに喜んでもらえるように、子供たちの「出し物」を用意することが職員会議で決まったそうです。そこで先生は学級会の時に「何がよいでしょうか?」と生徒の意見を求めたそうです。ところが、誰一人として手を挙げず、自分の意見を発表する生徒がいなかったのです。
困った先生が、「じゃあ、みんなで歌を歌うのはどうかな?」と提案すると、生徒たちは賛成し、慰問の日まで一生懸命に練習し、当日は元気な歌声でおじいちゃん、おばあちゃんを喜ばせたそうです。
この生徒たちのように、「指示されたことはきちんとできるが、支持がなければ自分から能動的に行動することができない」子供たちのことを「指示待ち族」と言うようです。この傾向は、大人たちにもみられる一種の社会現象であるとも言えます。
このような「指示待ち族」の子供が増えている原因は、家庭のしつけにあり、幼いころから「ああしなさい」「こうしなさい」と叱られながら育った影響が大きいです。
親はこれまでの人生の豊富な経験から「どのような場面で」「どのような行動をすればいいか」の判断力が身についていて、それを子供に教えようとします。そのため、子供自身の判断を尊重しようとしないで、とにかく「ああしなさい」「そうしてはいけない」と命令形で子供を叱る傾向にありませんか?これでは子供の判断力を伸ばす知恵があるとは言えません。
アメリカで行われたある「小集団のリーダーの研究」では、ただ「命令」をすることが、いかにメンバーのやる気をそいでいるかを明らかにしています。その研究とは小集団のリーダーを「専制型」「放任型」「民主型」の3つのタイプに分類し、そのリーダー元でそこに属するメンバーがどのような行動をとるかを研究しました。
その結果、「専制型」のリーダー率いる集団では、逐一指示を出し、それに従わせようとするリーダーのやり方に、メンバーは不満を持ち、やる気を失い、作業能率も低いのに対し、作業のゴールを明確に示し、細かい指示は与えず、作業の役割分担や段取りをメンバーに判断させた「民主型」のリーダーの下では「専制型」の集団ようりも作業効率が高かったとの報告があります。「放任型」は…言うまでもないでしょう。
この研究結果からもわかるように、子供に能動的な行動を望むなら、親は命令形で叱ることは避け、「~するにはどうしたらいいかな?」と子供自身に判断をさせてあげるように促すことが、叱り方のひとつの知恵です。
普段からこのような習慣をつけていれば叱る回数も減り、子供の判断力はどんどん伸びていくでしょう。
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