SSブログ

「ごめんなさい」ですまさせない [考える力がつく叱り方]

「ごめんなさい」より、なぜ叱られたかを考えさせる


お母さんに叱られて、泣きながら「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返している子供の姿や、泣いている子供に向かって、「ちゃんと「ごめんなさい」と言いなさい」としかりつけているお母さんの姿を見かけることがあります。

子供が間違った行為をしたときに、「ごめんなさい」としなおに言えるようにすることは、しつけの上ではとても大切なことですが、お母さんが、「ごめんなさい」という言葉にこだわって、それを強いると、子供は「ごめんなさい」と言いさえすればよいのだ、という考えを持ってしまいます。

「ごめんなさい」という言葉は、自分の間違いを素直に反省して言うことに意味があり、親の許しを乞うためのものであったり、その場しのぎの怒られ回避の言葉となってしまっては、何の意味もありません。

子供がほかの子に怪我をさせたときに、相手の家に行って「誤りなさい」という場合も同じです。怪我をさせた相手に子供が謝るのは当然のことですが、お母さんが、「誤った」ことで、その件に関しては一件落着と思ったら、叱った意味がなくなってしまいます。

相手に対して謝罪をしたあと、子供に怪我をさせてしまうまでの経緯を聞き、それがどんな理由であれ、他人に危害を与えることはいけないことなのだと言うことを教え、なぜ自分が誤らなければいけなかったかを考えさせることが叱る目的のはずです。

そうすることによって、子供は自分自身の行為を振り返り、何がいけなかったのか、どうすればよかったのかを考え、同じような場面で誤りのない判断を下せるようになるのです。

お母さんが、肝心の「なぜ叱られたのか?」を、子供に考えさせないままでいると、子供は同じ過ちを何度と泣く繰り返し、叱る目的はほとんど達成されないと言っていいでしょう。

「締切り効果」を利用しよう [考える力がつく叱り方]

「さっさとやりなさい」より、できる方法を一緒に考えてあげる


「うちの子は学校へ行く用意をするのが遅くて」と嘆いているお母さんは非常に多いみたいですね。当然のことですが、子供は、状況や時間、量に対する見通しが大人ほど的確にはできません。お母さんの目にはグズグズしているように見える子供の行動も、子供にとっては一生懸命、大急ぎでやっていることもあるのです。

その子供の一生懸命さを認めてあげたい気持ちはあっても、「学校に行くまで」という限られた時間の中では、あまりのんびりしたことを言っていられないのが現実です。

そこで、毎朝、子供が学校に出かけるまでの短い時間に「さっさとやりなさい」を何度も繰り返し言わなければならなくなるのです。ついには、いくら言っても機敏な行動ができない子供に怒り、「早く着替えて」「早くごはんを食べて」などと、子供の横につきっきりで指示をすることもありますよね。

こうなると、子供は、「お母さんの言うとおりに動けばいい」という考えを持つようになり、結果的に、子供のグズグズはひどくなっていきます。

「締切り効果」と言う言葉を知ってますか?

人間は時間を区切られると、仕事や勉強への意欲が高まり、集中力を発揮すると言う心理的メカニズムのことを言います。この特性をうまく利用して、子供に時間的な目標を与えて、作業の見通しを立てさせて、それを実行するためにはどうしたらいいかを考えさせるのが、ひとつの知恵です。

学校に行くためにいえを出る時間は、毎日決まっていますから、その時間を最終目標にして、その目標時間に合わせるにはどうしたらよいかを一緒に考えましょう。

家を出る時間が8時と決まっていれば、7時20分にはおきて、7時30分までには着替えを終わらせる。そして、7時50分には朝食を終えるなどの具体的な目標を設定させ、子供自身の行動を管理させるのです。

いったん子供が自分で決めた行動には、親は口をはさまず、子供の自主性にまかせます。それがうまくできたときには、「よくできたね」と、その行動を褒めてあげると、子供は達成感を味わい、それが自然と自発的に行動する力となっていきます。

「さっさとやりなさい」と叱るよりも、はるかに効果があることがよく分かります。
タグ:締切り効果

親の気持ちを態度で示そう [考える力がつく叱り方]

善悪の基準は、母親の「こうなるとうれしい」で十分


小さな子供が、公園で一緒に遊んでいる友達をたたいて泣かせてしまったときに、「お友達とは仲良く遊ばなければだめよ」と叱るお母さんを見かけることがあります。ですが、まだ小さい子供には「言葉」では、その意味を理解させることができません。

このような場合は、「言葉」で子供を説得するよりも、お母さんの「態度」で、子供に理由を伝えたほうが、子供は意外とすんなり「お友達をたたくことはよくないことだ」と理解ができます。

子供がお友達をたたいてしまったときに、「お友達をたたくのはよくないわね」と悲しそうな態度を示し、お友達と仲良く遊んでいるときには、「お友達と仲良く遊んでくれて、とてもうれしい」と、本心からうれしそうな態度を見せれば、子供はそのお母さんの「態度」から、お友達と仲良く遊ぶことの大切さを理解します。

最近、子供がゲームばかりやって困ると言うお話をよく聞きます。ゲームに熱中している子供に、「もうゲームはだめよ。外で遊びなさい」とお母さんが叱れば、子供は素直に外へ遊びに行くかもしれません。しかし、子供は、「このまま続けていたら、お母さんに怒られるから」という理由で、お母さんの言葉に従っただけかもしれません。

これでは、子供は「やめなさい」と言われなければ、ゲームを長時間してもいいのだという判断基準を持ってしまうことになりかねません。

こんなときは、子供が、自主的にゲームをやめるよう仕向けることです。

子供がゲームをしているときに、「あなたの体のことが心配なの。たまには外で遊んでくれるとうれしいなー」と、お母さんの気持ちを伝えるだけでいいのです。

子供にとって、母親や父親は絶対的な存在ですから、お母さんを心配させたくはないでしょうし、うれしがることは、子供もやってあげたいのが本心です。「外で遊んでくれるとうれしい」という一言で、子供はじぶんじしんの行動を省みて、しばらくすると、自分の判断で、ゲームをやめられるようになるはずです。

子供に対して「いけません」「やめなさい」と一方的に禁止したり、命令したりすることは、かえって子供に自分自身で自分自身で行動を考える機会を奪ってしまうことになりかねませんから、極力、避けたい言い方です。

「Iメッセージ」で伝えよう [考える力がつく叱り方]

叱るより、「お母さんはこう思う」と提案のかたちをとる


幼稚園や学校の先生から、「給食を残すことが多いようです」と言われると、家に帰るなり、子供に向かって「給食は残さずに食べなさい」と強い口調で叱ってしまいますよね。その結果、子供はその食べ物が嫌いになるだけでなく「給食嫌い」になってしまうという困ったことが起きてしまうことがあります。

子供は、「給食は残さずに食べたほうがよいことは分かってはいても、食べなければいけない本当の理由が分かっていないことが多いです。こんなとき、親や先生が、きつく「強制」をすれば、かえって子供に、給食に対する抵抗感を与えるだけです。

そこで、「給食はおっきくなるために、元気でいられるように考えて作ってあるから、あなたの体のためにも、お母さんはちゃんと食べたほうがいいと思うんだ」と自分の判断を話して聞かせ、子供に、「食べなければいけない理由」を考えさせるのが、ひとつの知恵です。

「提案」というやり方が、本来の叱る目的を果たしてくれるのです。その結果、子供に給食を残さず食べるさせることにつながるのです。

このような、子供自身の判断に結果をゆだねることを、「I(アイ・私)メッセージ」(アドラー心理学)と呼び、人と人とのコミュニケーションの仲で、もっとも大切な言い方とされています。

子供のしつけは、何でも好きにしていいという放任ではなく、お父さんやお母さんのしっかりした考え方のもとになされるべきですが、それが「強制」や「命令」などの押し付けになってしまっては、たとえお父さんやお母さんがどんなに立派な考えを持っていても、それを子供に伝えることはできません。下手をすれば、子供の反発心を誘うことにもなりかねません。

あくまでも、「提案」であるという態度が、子供に、自分自身の行動を素直に振り返らせ、自分の行動を規定するきっかけとなるのです。

同じような効果を期待するならば、「お母さんだったらこうするけどなー」という「叱り方」もあります。

たとえば、宿題をせずにゲームばかりしている子供には「お母さんだったら、宿題をさきにしちゃってから、ゆっくりゲームするけどね」と言う感じです。そうすれば、子供にも「そのほうがいいかも、、、そうしてみようかな」という気持ちが生まれ「ゲームをする前に宿題をしなさい」と叱りつけるよりも、効果があることでしょう。

「こうしなさい」は逆効果 [考える力がつく叱り方]

「こうしなさい」より「どうしたらいいか?」を問う


ある小学校で、敬老の日を間近に控え、生活の授業の一環として、老人ホームへ慰問の校外授業を行うことになったときのことです。

おじいちゃん、おばあちゃんに喜んでもらえるように、子供たちの「出し物」を用意することが職員会議で決まったそうです。そこで先生は学級会の時に「何がよいでしょうか?」と生徒の意見を求めたそうです。ところが、誰一人として手を挙げず、自分の意見を発表する生徒がいなかったのです。

困った先生が、「じゃあ、みんなで歌を歌うのはどうかな?」と提案すると、生徒たちは賛成し、慰問の日まで一生懸命に練習し、当日は元気な歌声でおじいちゃん、おばあちゃんを喜ばせたそうです。

この生徒たちのように、「指示されたことはきちんとできるが、支持がなければ自分から能動的に行動することができない」子供たちのことを「指示待ち族」と言うようです。この傾向は、大人たちにもみられる一種の社会現象であるとも言えます。

このような「指示待ち族」の子供が増えている原因は、家庭のしつけにあり、幼いころから「ああしなさい」「こうしなさい」と叱られながら育った影響が大きいです。

親はこれまでの人生の豊富な経験から「どのような場面で」「どのような行動をすればいいか」の判断力が身についていて、それを子供に教えようとします。そのため、子供自身の判断を尊重しようとしないで、とにかく「ああしなさい」「そうしてはいけない」と命令形で子供を叱る傾向にありませんか?これでは子供の判断力を伸ばす知恵があるとは言えません。

アメリカで行われたある「小集団のリーダーの研究」では、ただ「命令」をすることが、いかにメンバーのやる気をそいでいるかを明らかにしています。その研究とは小集団のリーダーを「専制型」「放任型」「民主型」の3つのタイプに分類し、そのリーダー元でそこに属するメンバーがどのような行動をとるかを研究しました。

その結果、「専制型」のリーダー率いる集団では、逐一指示を出し、それに従わせようとするリーダーのやり方に、メンバーは不満を持ち、やる気を失い、作業能率も低いのに対し、作業のゴールを明確に示し、細かい指示は与えず、作業の役割分担や段取りをメンバーに判断させた「民主型」のリーダーの下では「専制型」の集団ようりも作業効率が高かったとの報告があります。「放任型」は…言うまでもないでしょう。

この研究結果からもわかるように、子供に能動的な行動を望むなら、親は命令形で叱ることは避け、「~するにはどうしたらいいかな?」と子供自身に判断をさせてあげるように促すことが、叱り方のひとつの知恵です。

普段からこのような習慣をつけていれば叱る回数も減り、子供の判断力はどんどん伸びていくでしょう。



子供を伸ばす上手な叱り方 [初めに読んで下さい]

子供を伸ばす「叱らない叱り方」のコツをつかもう


子供を叱るのって難しいですよね。だからこそ、子供を叱るには「知恵」が必要になってきます。それほどに子供を叱るのは難しいし、コツがあると言えます。

人間、誰しもが経験あると思いますが、人は叱られるとき、決して心穏やかではいられません。叱られると言うことは、こちらがなにかやりたいと思っているときに、それをしてはいけないと阻止されるわけですから、反抗心や怒りがこみ上げてくるのは当然のことなのです。

私たちが人を叱る場合には、この反抗や怒りをどう処理するかが大切だと言うことになってきます。

「叱る」という目的は、相手の態度や言動を改めさせ、叱り手の望むようなかたちに変えることにあります。それが、いくら叱っても、ただ相手の反発を生むだけに終わるとしたら、叱る意味が全くなくなってしまいます。

だからこそ、叱り方にはスキルや知恵が必要になってくるのです。

「叱らない叱り方」で叱る以上の効果を挙げる方法を考え、それでも叱らなければならなかったときのフォローの仕方などの「スキル」や「知恵」を知識と経験を元に書いていきたいと思います。

このブログを読んでいただいて、少しでも子を持つお母さんやお父さんが、新しい「叱り方」の方法をたくさん発見してくれれば幸いです。
Copyright © 子供を伸ばす上手な叱り方 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。